本体価格1,800万円〜
広告や見積もりのいちばん大きな数字を見て、予算を決めていませんか。
そこには、家を建てるのに必要なお金の”全部”は入っていません。本体価格のほかに「付帯工事費」と「諸費用」がかかり、これが総額の2〜3割にもなります。
私は住宅営業を13年、宅地建物取引士として茨城で家づくり・不動産の相談を受けています。
この記事では、中立な立場で、本体価格に入っていないお金の正体と内訳、そして会社によって金額が違って見えるカラクリを、元営業の視点で正直に解説します。
付帯工事・諸費用とは?「本体価格に入らないお金」の2種類
家づくりの費用は、大きく「本体工事費」「付帯工事費」「諸費用」の3つに分かれます(土地から買う場合は、これに土地代が加わります)。
- 本体工事費:建物そのものを建てるお金。基礎・構造・屋根・内装など。広告の「◯◯万円〜」はほぼこれ
- 付帯工事費:建物以外に必要な工事。地盤改良・外構・給排水の引き込みなど。本体に含まれないことが多い
- 諸費用:工事以外にかかるお金。税金・登記・住宅ローンの手数料・火災保険など。基本は現金で必要
つまり、付帯工事費と諸費用は「本体価格には入っていないけれど、家を建てるには必ずかかるお金」です。ここを知らずに本体価格だけで予算を組むと、あとで数百万円足りない、という事態が起きます。
注文住宅の総額は「4つ」で決まる|割合の目安
まず全体像です。土地代を除いた建築の総額を100とすると、内訳の目安はこうなります。

| 費用の種類 | 割合の目安 | 中身 |
|---|---|---|
| 本体工事費 | 70〜80% | 建物本体 |
| 付帯工事費 | 15〜20% | 地盤改良・外構・引き込みなど |
| 諸費用 | 5〜10% | 税金・登記・ローン・保険など |
たとえば建築総額3,500万円なら、本体約2,450万円・付帯約700万円・諸費用約350万円が目安です。「本体だけ」で見ていると、1,000万円近くを見落とすことになります。
※割合はあくまで目安です。土地の状態(地盤・高低差)や外構の規模で、付帯工事は大きく上下します。
付帯工事費の内訳|項目ごとの費用レンジ
付帯工事は「土地と建物のあいだをつなぐ工事」とイメージすると分かりやすいです。主な項目と、実務で見る費用レンジの目安を挙げます。
| 項目 | 費用レンジの目安 | ひとこと |
|---|---|---|
| 地盤調査 | 5万円前後 | ほぼ必須。調査の結果で改良の要否が決まる |
| 地盤改良工事 | 50〜200万円 | 読めない費用の代表。地盤が弱いほど高い |
| 屋外給排水工事 | 50〜150万円 | 水道・下水を敷地に引き込む。本管までの距離で変動 |
| ガス・電気の引き込み | 10〜50万円 | 敷地までの距離・方式で変わる |
| 外構工事 | 100〜300万円 | 駐車場・門・塀・アプローチ。こだわると青天井 |
| 解体工事 | 60〜400万円 | 建て替えの場合。構造・広さ・重機の入りやすさで変動 |
| エアコン・照明・カーテン | 30〜80万円 | 台数・グレード次第。本体に入っていないことが多い |
| 屋外設備・その他 | 数十万円〜 | ポーチ照明、TVアンテナ、地盤保証など |
特に注意したいのが「地盤改良」です。地盤調査をしてみないと要否も金額も分からないため、見積もりでは仮の金額(多めや0円)で入っていることがあります。契約後に「地盤改良で+150万円」となるのは、よくあるパターンです。
諸費用の内訳|「現金で必要」なお金
諸費用は、工事ではなく「手続き」にかかるお金です。住宅ローンに含めにくく、基本は現金で用意します。
| 項目 | 費用の目安 | 中身 |
|---|---|---|
| 印紙税 | 1〜3万円程度 | 契約書に貼る税金 |
| 登記費用(登録免許税+司法書士報酬) | 20〜40万円 | 土地・建物の名義登録 |
| 住宅ローン関連費用 | 借入額の2〜3%程度 | 事務手数料・保証料・団信など |
| 火災保険・地震保険 | 20〜40万円 | 契約期間分をまとめて |
| 不動産取得税・固定資産税の精算 | 数万〜十数万円 | 取得にともなう税金 |
| つなぎ融資の利息 | 数十万円 | 注文住宅で発生しやすい。分割実行との差 |
※金額は借入額・保険期間・自治体で変わります。税金や登記の詳しい計算は、司法書士・税理士など専門家の領域です。ここでは「これくらいの費目が、現金でかかる」という全体像としてお伝えします。
注文住宅で見落とされやすいのが「つなぎ融資」です。土地・着工・上棟・引き渡しと代金を数回に分けて払うため、住宅ローンが実行される前の立て替え資金に利息がかかります。
なぜ会社によって「本体価格」が違って見えるのか
ここが、元営業として正直にお伝えしたいところです。同じような家なのに、A社は1,800万円、B社は2,300万円——そんな差が出る理由の多くは、「本体価格にどこまで含めているか」の違いです。
- A社:本体価格を安く見せるため、付帯工事や照明・カーテンをすべて別途にしている
- B社:地盤改良の想定や外構の一部まで本体に含めて提示している
つまり、本体価格だけを並べて「A社が安い」と判断するのは危険です。安く見えた会社ほど、あとから付帯・諸費用が積み上がって、総額では逆転することがよくあります。
広告や最初の見積もりで大きく安い数字を出す会社は、「入っていない項目」が多い可能性がある、と一歩引いて見てください。
見積書のどこを見れば、付帯・諸費用が分かるか
見積書は「本体工事」「付帯工事(別途工事)」「諸費用」の3つの塊で見ます。チェックすべきポイントはこの3つです。
- 「別途工事」「付帯工事」の欄に何が入っているか:ここが薄い会社は、あとから乗ってくる
- 「一式」表記が多くないか:金額の根拠が見えない項目は、内訳を出してもらう
- 地盤改良・外構・照明カーテンが「含む/別途/未定」どれか:未定なら、上限の目安を必ず聞く
見積書の「一式」の読み解き方は、相見積もりの正しい取り方でも詳しく解説しています。
元営業として|削っていい付帯工事・削らない付帯工事
コストを下げたいとき、付帯工事は「削る優先順位」を間違えないことが大事です。私が現場で見てきた、判断の目安です。
▼ あとから足せる=先に削ってもいい
- 外構(駐車場・門・塀):住み始めてから少しずつでもOK。まず最低限に
- 照明・カーテン:施主支給やネット購入で下げやすい
- エアコン:家電量販店のほうが安いことも多い
▼ あとから直しにくい=削らないほうがいい
- 地盤改良:安全に直結。ただし工法の検討で安くなる場合も
- 給排水の引き込み:やり直しが大がかりで高くつく
- 断熱・気密など基本性能(本体側):後付けが最も高い
見えるところ(外構・内装)は後回しできる、見えない土台は削らない、これが基本の考え方です。
諸費用は削れる?|下げられるもの・下げられないもの
- 下げやすい:住宅ローンの手数料・保証料(金融機関の比較で差が出る)、火災保険(補償内容と期間の見直し)
- 下げにくい:登記費用・印紙税・各種税金(制度で決まる)
- 工夫できる:つなぎ融資(分割実行のあるローンを選ぶと利息を抑えられることも)
諸費用は「削る」より「金融機関や保険の選び方で結果的に下がる」という考え方が現実的です。
総額を正しく出すコツ|相見積もりで「含む範囲」を揃える
本体価格だけを比べても、正しい比較になりません。会社ごとに「本体に含む範囲」が違うからです。総額で比べるには、次の一手が効きます。
- 複数社に、同じ条件・同じ含む範囲で見積もりを依頼する
- 各社の「付帯工事」「諸費用」まで並べて、総額(本体+付帯+諸費用+土地)で比較する
- 「一式」や「未定」は、上限の目安を出してもらってから比べる
とはいえ、条件を揃えて何社にも声をかけるのは手間です。まとめて同条件で取り寄せる方法は、注文住宅の一括資料請求サービスの比較にまとめています。取り方のコツは相見積もりの正しい取り方が参考になります。
予算そのものの決め方は注文住宅の予算の決め方、値引き交渉については注文住宅の値引きの記事もあわせてどうぞ。
よくある失敗パターン
- 本体価格だけで会社を決めた→ 付帯・諸費用が乗って、総額で予算オーバー
- 地盤改良を見込んでいなかった→ 契約後に+150万円で資金計画が崩れる
- 外構を後回しにしすぎた→ 引き渡し後、駐車場も塀もなく生活に不便
- 諸費用の現金を用意していなかった→ ローンに入れられず、手元資金が足りない
「この見積もり、付帯や諸費用は妥当?」と思ったら
見積書を見て「この付帯工事、高くない?」「諸費用ってこんなに?」と感じたら、契約前に一度、第三者に見てもらうのがおすすめです。
すまいのみちしるべは、茨城・水戸で家づくりの無料相談を受けています。売る側・買い取る側ではない中立の立場で、元営業として「この見積もりの付帯・諸費用は妥当か」を一緒に確認できます。会社名を伏せたままでも大丈夫です。
よくある質問
▼ あわせて読みたい(家づくりの内幕)
まとめ
- 家の費用は本体+付帯工事+諸費用(+土地)。本体だけで予算を組まない
- 付帯は総額の15〜20%、諸費用は5〜10%が目安。合わせて2〜3割
- 会社で「本体価格」が違って見えるのは含む範囲の違い。総額で比べる
- 削るなら外構・照明・カーテンから。地盤・給排水・基本性能は削らない
- 迷ったら、契約前に中立の第三者に見積もりを見てもらう
付帯工事や諸費用でモヤモヤしたら、社名を伏せたままでも大丈夫です。中立の元営業に、気軽に相談してください。


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