実家じまいの進め方|空き家になった実家を「売る・貸す・活かす」で決める

実家じまいの進め方|空き家になった実家を「売る・貸す・活かす」で決める
森江一樹
この記事の監修者森江 一樹(宅地建物取引士・2級建築施工管理技士)茨城県で10年以上・100組以上の家づくりに携わった経験をもとに、特定の会社に偏らない中立の立場で解説しています。詳しいプロフィール

実家じまい、しないといけないのは分かっている。
でも、何から手をつければいいのか分からない

親が施設に入った。相続で空き家になった。帰る予定はない。

でも、思い出のある家に手をつけるのは、気が重い。だから、そのままになっている。

先に、結論をお伝えします。実家じまいは、いきなり「売る/解体」から考えないでください。

その家を手放すか・活かすか、そして立地が良いかどうかで、進む道が分かれます。

私は宅地建物取引士で、住宅営業を13年、家づくりと不動産の相談を茨城で受けています。
売る側でも、買い取る業者でもない、中立の立場で書きます。

実家じまいチェックリスト
目次

実家じまいとは?なぜ今、増えているのか

実家じまいとは、住む人がいなくなった実家を、売る・貸す・活用する・解体するなどして、きちんと次の形に片づけることです。

なぜ今増えているのか。理由はシンプルで、親世代が家を持ち、子世代は別の場所に自分の生活があるからです。

相続した家に戻る予定はない。でも放っておくわけにもいかない。そういう家が全国で増えています。

そして、実家じまいでいちばん多い失敗が——「決められないまま、何年も空き家で放置する」ことです。

いつ始める?――「親が元気なうち」がいちばんスムーズ

実家じまいを始めるきっかけで多いのは、親が施設に入った・亡くなって空き家になったタイミングです。ただ、もし選べるなら、親が元気なうち(生前)に少しずつ進めるのがいちばんスムーズです。

生前なら、親本人の意思を確認できますし、「何を残すか」を一緒に決められます。相続で兄弟がもめる前に方針を共有でき、書類のありかも本人に聞けます。

とはいえ、多くの方は空き家になってから動き出します。それでも遅くはありません。「急がないが、止めない」——これが基本です。

放置すると、どうなるか

空き家のまま置いておくと、じわじわと負担が増えます。

  • 固定資産税が上がる:管理されていない空き家が「特定空家」等に指定されると、土地の税の軽減(住宅用地の特例)が外れ、負担が大きく上がる場合があります
  • 建物が傷む:人が住まない家は、驚くほど早く傷みます。傷むほど、売るにも貸すにも不利になります
  • 近隣トラブル・防犯:草木・害獣・不審者。管理の手間と心配が続きます

※税額や指定の要件は自治体・年度で変わります。詳しくはお住まいの市町村や税の専門家にご確認ください。
ここでは「放置するほど不利になりやすい」という傾向としてお伝えします。

2023年の法改正で、「特定空家」の手前でも税金が上がるようになりました

これまで住宅用地の特例が外れるのは、かなり傷んで「特定空家」に指定された家だけでした。

2023年に空家法が改正され、同年12月から「管理不全空家」という区分が加わっています。放っておくと特定空家になりそうな状態の家が対象です。

  • 窓が割れている
  • 屋根や外壁が傷んでいる
  • 草木が伸びきっている

市町村から指導があり、それでも直らないと勧告が出ます。この勧告が出た時点で、住宅用地の特例が外れます。建物を壊していなくても、です。

自治体の案内では、土地の固定資産税と都市計画税がおよそ4倍になると説明されている例があります。
※令和6年1月1日を賦課期日とする年度以後の固定資産税から適用されています。

ただし、いきなり上がるわけではありません。

指導 → 勧告、という順番があります。連絡が来た時点で手を入れれば、間に合います。

草を刈る、壊れたところを直す、ときどき風を通す。それだけで防げる話です。遠方で通えない場合は、空き家の見回りを頼めるサービスもあります。

大事なのは、良い悪いではなく「早く方針を決めること」です。方針が決まれば、あとは動くだけになります。

実家じまいの進め方|5つのステップ

やることが多く見えますが、順番に沿えば迷いません。

  1. 家族・親族で方針を話し合う:いちばん最初。誰が中心になり、売る/貸す・活かす/解体のどれを目指すか、ざっくり共有する
  2. 実家の片付け・遺品整理をする:荷物を仕分け、重要書類(権利証・通帳・保険)を確保する
  3. 相続登記(名義変更)を済ませる:名義が故人のままだと売れない。義務化されている
  4. 処分方法を見極める:立地と状態で「売る/貸す・活かす/解体」を判断(このあと詳しく)
  5. 実際に手放す・活かす:売却・賃貸・土地活用・解体を実行する

※①の親族での話し合いを飛ばすと、あとでいちばんもめます。面倒でも、ここを最初に。

最初にやること|4つの道と「判断基準」

実家じまいの道は、大きく4つ。立地・建物の状態・使う予定・資金の4点で、どれに向くかが見えてきます。

▼判断基準表(売る・貸す・活かす・解体)

道向いているケースひとこと
売る使う予定がない/現金化したいいちばん多い選択。急がず、相場を確かめてから
貸す・活かす(土地活用)立地が良い/手放したくない/収益がほしい立地が良いほど選択肢が広い。更地・駐車場・賃貸など
解体して更地に建物が傷んで危険/売るために更地化費用と、更地後の税金アップに注意
今はそのまま(管理して待つ)気持ちの整理がつかない/将来使うかも放置ではなく「管理して待つ」。最低限の管理は必要

ここでのポイントは”立地”です。駅や生活の便が良い、需要のあるエリアなら、売って終わりにするより、貸す・活かす(土地活用)に回したほうが、結果的に得になることがあります。

逆に、需要の少ないエリアなら、条件の良いうちに売る判断が向きます。

売る場合|急がず、相場を確かめてから

売ると決めたら、いちばん大事なのは「相場を自分でも把握してから動く」ことです。

  • 1社だけの査定で決めない。複数の査定を比べると、その家の”本当の価格帯”が見えてきます
  • 「すぐ売れます」「高く売れます」の言葉より、根拠(近隣の成約事例)を確認する
  • 相続がからむ場合は、名義変更(相続登記)が済んでいないと売れません。ここは先に整える必要があります

査定額は会社によって差が出ます。高い査定=高く売れる、ではありません。中立の立場で「この価格帯なら妥当か」を一緒に見ることもできます。

もう一歩踏み込むと、査定には、データだけで出す「机上査定」と、実際に見てもらう「訪問査定」があります。

本気で売るなら訪問査定まで受けると、精度が上がります。

そして、高い査定額に飛びつかないこと。まず高値を出して受注し、あとから値下げを促すケースもあるためです。査定額の”根拠”(近隣の成約事例)を見せてもらえるかが、信頼できる会社かどうかの見極めどころです。

貸す・活かす場合|立地が良いなら、まず”活用”を検討

立地が良い実家は、売る前に「活かす道」を一度考える価値があります。土地や家の活かし方は、思っているより幅があります。

  • 戸建て賃貸・古家をリフォームして貸す:需要のある住宅地向き。手を入れる資金は要る
  • アパート・賃貸住宅を建てる:駅近・人口のあるエリア向き。初期投資と収支計画が必要
  • 駐車場・コインパーキング:初期費用が比較的小さく、始めやすい
  • トランクルーム・資材置き場:住宅需要が弱くても成り立つことがある
  • 事業用定期借地で貸す:土地を手放さずに、長期で貸して収益化する

どれが向くかは、立地・広さ・周辺の需要・かけられる資金で変わります。同じ土地でも、活用プラン次第で結果が大きく変わるので、複数の活用プランを比べて考えるのがおすすめです。

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解体する場合|費用と「更地後の税金」に注意

建物が傷んで危険、あるいは売るために更地にしたい——そんなときは解体を検討します。

  • 解体費用は、建物の構造・広さ・立地(重機が入れるか)で大きく変わります。相見積もりで幅を確かめてください
  • 自治体の補助金がある場合があります(老朽危険空家の解体補助など)。お住まいの市町村を確認
  • 注意:更地にすると、土地の固定資産税の軽減が外れて税金が上がることがあります。解体のタイミングは、売却・活用の予定と合わせて決めるのが安全です

とりあえず壊すは避け、壊したあと(売る/活用する)まで決めてから動くと、無駄が出ません。空き家をどうするか自体で迷っているなら、解決プランをまとめて取り寄せて比べるのも一つの方法です。

費用の目安も、幅を知っておくと動きやすくなります。あくまで一般的な目安で、建物や立地、時期によって大きく変わります。

  • 木造:おおよそ坪あたり3〜5万円程度が一つの目安
  • 鉄骨・RC(鉄筋コンクリート):木造より高くなりやすい
  • これに残置物(家具・家財)の処分費、整地費、重機が入れない場合の割増などが加わります

金額は条件で変わるので、必ず相見積もりで幅を確かめてください。自治体によっては、老朽危険空家の解体補助が使えることもあります。

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実家の片付け・遺品整理をどう進めるか

実家じまいで、いちばん手間と気力がいるのが片付けです。ここでつまずいて止まる方が多いので、ポイントだけ。

  • 重要書類を最優先で探す:不動産の権利証・登記関係、通帳、保険証券、契約書。捨ててから気づくと大変です
  • 「残す・売る・処分」で仕分ける:全部を自分でやろうとしない。量が多ければ遺品整理・不用品回収の業者も選択肢
  • 買取で費用を圧縮できることも:まだ使える家具・家電は、買取に出すと処分費が減ることがあります

費用の目安は、ワンルームで数万円〜、一軒家(4LDK以上)で50万円前後までと幅があります(量・地域で変動)。

注意したいのが悪質業者です。「一式◯万円」と言っておいて、あとから高額を請求する例があります。

必ず相見積もりを取り、内訳を確認してください。

実家じまいの費用と期間の全体像

実家じまいは、片付け・処分・税金など、いくつかの費用が重なります。全体像をつかんでおくと、慌てません。

  • 片付け・遺品整理:数万円〜50万円前後(量による)
  • 解体:木造で坪3〜5万円程度が目安(する場合)
  • 売却の諸費用:仲介手数料(売買価格×3%+6万円+税 が上限の目安)、印紙代など
  • 税金:譲渡所得税・相続税など(次の章。専門家に確認)

期間は、全体でおおむね6か月〜1年が目安です。相続の話し合いや、売却先が決まるまでで前後します。

相続がからむとき|まず「名義」を整える

実家じまいは、相続とセットになることが多いです。ここだけは順番があります。

  • 相続登記(名義変更)は義務化されています。名義が故人のままだと、売ることも、担保に入れることもできません。まずここを整えます
  • 相続人が複数(兄弟姉妹など)なら、誰がどうするかの話し合いが先。ここが決まらないと前に進みません

※相続登記の手続きや、相続税・譲渡所得税などの税金は、司法書士・税理士など専門家の領域です。金額や手続きの断定は避けますので、具体的な計算・申請は専門家にご相談ください。

私(宅建士)がお手伝いできるのは、不動産を「売る・貸す・活かす」の判断の部分です。この2つを見極めて進めると、迷いにくくなります。

なお、相続した空き家を売るときは、条件を満たすと「空き家の3,000万円特別控除」という、譲渡所得を軽くできる特例が使えることがあります。適用の条件は細かく、期限もあるため、使えるかどうかは税理士など専門家に早めに確認してください。

茨城で実家じまいを考えるなら

茨城は、水戸・つくばのような便の良いエリアと、郊外・県北のように需要が読みにくいエリアが混在します。同じ「実家」でも、エリアで取るべき道がまったく変わります。

茨城のエリア別の考え方は「茨城の空き家・実家じまい」で、より具体的に解説しています。

  • 便の良いエリア → 売るか、活かす(土地活用)か、選択肢が広い
  • 需要の少ないエリア → 条件の良いうちに動く判断が向くことも

こういうとき、売主でも、買取業者でもない中立の相談先が役に立ちます。「売ったほうがいいのか、活かせるのか、いくらが妥当なのか」を、営業トークぬきで一緒に整理できます。

すまいのみちしるべは、茨城・水戸で家づくりと不動産の無料相談を受けています。会社名を伏せたままでも大丈夫です。売り込みはしませんし、無理にどこかを勧めることもしません。

よくあるトラブルと、防ぎ方

実家じまいでつまずきやすいポイントと、その防ぎ方です。

  • 親族間でもめる:「勝手に進めた」となりがち。最初に全員で方針を共有しておく
  • 悪質業者に高く請求される:片付け・解体は相見積もりで内訳を確認
  • 重要書類を捨ててしまう:片付け前に、権利証・通帳・保険をまず探す
  • 売れずに固定資産税だけ払い続ける:売れない土地は、貸す・活用・(条件により)国庫帰属も検討
  • 相続登記を放置:義務化され、放置すると過料の対象になることも。名義は早めに整える

よくある質問

兄弟で相続した実家、どう分ければいい?

現金化して分ける(売って分割)/誰か1人が引き継ぐ/共有のまま持つ、などがあります。共有のまま放置はトラブルの元になりやすいので、方針だけは早めに。分け方や税は専門家と合わせて確認を。

空き家のまま貸すことはできますか?

できます。古家付きで貸す、簡単なリフォームで貸す、など。ただし建物の状態と立地しだいなので、貸せるか・いくらで貸せるかは一度確かめるのがおすすめです。

解体費用はどのくらいかかりますか?

構造・広さ・立地で大きく変わるため、一律には言えません。相見積もりで幅を確かめてください。自治体の補助が使えることもあります。

田舎で売れそうにない実家はどうすれば?

売却以外に、貸す・活用する・(条件により)相続土地を国に引き取ってもらう制度などもあります。「売れない=詰み」ではないので、選択肢を並べてから決めましょう。

急いで決めたほうがいいですか?

焦って安く手放す必要はありません。ただし、放置するほど建物は傷み、負担は増えます。「急がないが、止めない」が基本です。

相続した実家を「売る」と決めたら、流れと税金の注意は相続した実家を売るときの流れと、空き家の固定資産税にまとめています。

まとめ

  • 実家じまいは、まず「手放すか・活かすか」×「立地」で道を見極める
  • 立地が良ければ、売る前に”活かす(土地活用)”も検討。選択肢が広いほど得しやすい
  • 売るなら相場を複数で確認、解体は”更地後の税金”に注意
  • 相続がからむ税・登記は専門家へ。不動産の売る・貸す・活かすの判断は中立の第三者と
  • 「急がないが、止めない」。方針が決まれば、あとは動くだけ

実家をどうするか迷ったら、茨城・水戸のすまいのみちしるべにご相談ください。中立の立場で、あなたの実家に合う道を一緒に整理します。

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