
実家じまい、しないといけないのは分かっている。
でも、何から手をつければいいのか分からない
親が施設に入った。相続で空き家になった。帰る予定はない。
でも、思い出のある家に手をつけるのは、気が重い。だから、そのままになっている。
先に、結論をお伝えします。実家じまいは、いきなり「売る/解体」から考えないでください。
その家を手放すか・活かすか、そして立地が良いかどうかで、進む道が分かれます。
私は宅地建物取引士で、住宅営業を13年、家づくりと不動産の相談を茨城で受けています。
売る側でも、買い取る業者でもない、中立の立場で書きます。


実家じまいとは?なぜ今、増えているのか
実家じまいとは、住む人がいなくなった実家を、売る・貸す・活用する・解体するなどして、きちんと次の形に片づけることです。
なぜ今増えているのか。理由はシンプルで、親世代が家を持ち、子世代は別の場所に自分の生活があるからです。
相続した家に戻る予定はない。でも放っておくわけにもいかない。そういう家が全国で増えています。
そして、実家じまいでいちばん多い失敗が——「決められないまま、何年も空き家で放置する」ことです。
いつ始める?――「親が元気なうち」がいちばんスムーズ
実家じまいを始めるきっかけで多いのは、親が施設に入った・亡くなって空き家になったタイミングです。ただ、もし選べるなら、親が元気なうち(生前)に少しずつ進めるのがいちばんスムーズです。
生前なら、親本人の意思を確認できますし、「何を残すか」を一緒に決められます。相続で兄弟がもめる前に方針を共有でき、書類のありかも本人に聞けます。
とはいえ、多くの方は空き家になってから動き出します。それでも遅くはありません。「急がないが、止めない」——これが基本です。
放置すると、どうなるか
空き家のまま置いておくと、じわじわと負担が増えます。
- 固定資産税が上がる:管理されていない空き家が「特定空家」等に指定されると、土地の税の軽減(住宅用地の特例)が外れ、負担が大きく上がる場合があります
- 建物が傷む:人が住まない家は、驚くほど早く傷みます。傷むほど、売るにも貸すにも不利になります
- 近隣トラブル・防犯:草木・害獣・不審者。管理の手間と心配が続きます
※税額や指定の要件は自治体・年度で変わります。詳しくはお住まいの市町村や税の専門家にご確認ください。
ここでは「放置するほど不利になりやすい」という傾向としてお伝えします。
2023年の法改正で、「特定空家」の手前でも税金が上がるようになりました
これまで住宅用地の特例が外れるのは、かなり傷んで「特定空家」に指定された家だけでした。
2023年に空家法が改正され、同年12月から「管理不全空家」という区分が加わっています。放っておくと特定空家になりそうな状態の家が対象です。
- 窓が割れている
- 屋根や外壁が傷んでいる
- 草木が伸びきっている
市町村から指導があり、それでも直らないと勧告が出ます。この勧告が出た時点で、住宅用地の特例が外れます。建物を壊していなくても、です。
自治体の案内では、土地の固定資産税と都市計画税がおよそ4倍になると説明されている例があります。
※令和6年1月1日を賦課期日とする年度以後の固定資産税から適用されています。
ただし、いきなり上がるわけではありません。
指導 → 勧告、という順番があります。連絡が来た時点で手を入れれば、間に合います。
草を刈る、壊れたところを直す、ときどき風を通す。それだけで防げる話です。遠方で通えない場合は、空き家の見回りを頼めるサービスもあります。
大事なのは、良い悪いではなく「早く方針を決めること」です。方針が決まれば、あとは動くだけになります。
実家じまいの進め方|5つのステップ
やることが多く見えますが、順番に沿えば迷いません。
- 家族・親族で方針を話し合う:いちばん最初。誰が中心になり、売る/貸す・活かす/解体のどれを目指すか、ざっくり共有する
- 実家の片付け・遺品整理をする:荷物を仕分け、重要書類(権利証・通帳・保険)を確保する
- 相続登記(名義変更)を済ませる:名義が故人のままだと売れない。義務化されている
- 処分方法を見極める:立地と状態で「売る/貸す・活かす/解体」を判断(このあと詳しく)
- 実際に手放す・活かす:売却・賃貸・土地活用・解体を実行する
※①の親族での話し合いを飛ばすと、あとでいちばんもめます。面倒でも、ここを最初に。
最初にやること|4つの道と「判断基準」
実家じまいの道は、大きく4つ。立地・建物の状態・使う予定・資金の4点で、どれに向くかが見えてきます。
▼判断基準表(売る・貸す・活かす・解体)
| 道 | 向いているケース | ひとこと |
|---|---|---|
| 売る | 使う予定がない/現金化したい | いちばん多い選択。急がず、相場を確かめてから |
| 貸す・活かす(土地活用) | 立地が良い/手放したくない/収益がほしい | 立地が良いほど選択肢が広い。更地・駐車場・賃貸など |
| 解体して更地に | 建物が傷んで危険/売るために更地化 | 費用と、更地後の税金アップに注意 |
| 今はそのまま(管理して待つ) | 気持ちの整理がつかない/将来使うかも | 放置ではなく「管理して待つ」。最低限の管理は必要 |
ここでのポイントは”立地”です。駅や生活の便が良い、需要のあるエリアなら、売って終わりにするより、貸す・活かす(土地活用)に回したほうが、結果的に得になることがあります。
逆に、需要の少ないエリアなら、条件の良いうちに売る判断が向きます。
売る場合|急がず、相場を確かめてから
売ると決めたら、いちばん大事なのは「相場を自分でも把握してから動く」ことです。
- 1社だけの査定で決めない。複数の査定を比べると、その家の”本当の価格帯”が見えてきます
- 「すぐ売れます」「高く売れます」の言葉より、根拠(近隣の成約事例)を確認する
- 相続がからむ場合は、名義変更(相続登記)が済んでいないと売れません。ここは先に整える必要があります
査定額は会社によって差が出ます。高い査定=高く売れる、ではありません。中立の立場で「この価格帯なら妥当か」を一緒に見ることもできます。
もう一歩踏み込むと、査定には、データだけで出す「机上査定」と、実際に見てもらう「訪問査定」があります。
本気で売るなら訪問査定まで受けると、精度が上がります。
そして、高い査定額に飛びつかないこと。まず高値を出して受注し、あとから値下げを促すケースもあるためです。査定額の”根拠”(近隣の成約事例)を見せてもらえるかが、信頼できる会社かどうかの見極めどころです。
貸す・活かす場合|立地が良いなら、まず”活用”を検討
立地が良い実家は、売る前に「活かす道」を一度考える価値があります。土地や家の活かし方は、思っているより幅があります。
- 戸建て賃貸・古家をリフォームして貸す:需要のある住宅地向き。手を入れる資金は要る
- アパート・賃貸住宅を建てる:駅近・人口のあるエリア向き。初期投資と収支計画が必要
- 駐車場・コインパーキング:初期費用が比較的小さく、始めやすい
- トランクルーム・資材置き場:住宅需要が弱くても成り立つことがある
- 事業用定期借地で貸す:土地を手放さずに、長期で貸して収益化する
どれが向くかは、立地・広さ・周辺の需要・かけられる資金で変わります。同じ土地でも、活用プラン次第で結果が大きく変わるので、複数の活用プランを比べて考えるのがおすすめです。
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解体する場合|費用と「更地後の税金」に注意
建物が傷んで危険、あるいは売るために更地にしたい——そんなときは解体を検討します。
- 解体費用は、建物の構造・広さ・立地(重機が入れるか)で大きく変わります。相見積もりで幅を確かめてください
- 自治体の補助金がある場合があります(老朽危険空家の解体補助など)。お住まいの市町村を確認
- 注意:更地にすると、土地の固定資産税の軽減が外れて税金が上がることがあります。解体のタイミングは、売却・活用の予定と合わせて決めるのが安全です
とりあえず壊すは避け、壊したあと(売る/活用する)まで決めてから動くと、無駄が出ません。空き家をどうするか自体で迷っているなら、解決プランをまとめて取り寄せて比べるのも一つの方法です。
費用の目安も、幅を知っておくと動きやすくなります。あくまで一般的な目安で、建物や立地、時期によって大きく変わります。
- 木造:おおよそ坪あたり3〜5万円程度が一つの目安
- 鉄骨・RC(鉄筋コンクリート):木造より高くなりやすい
- これに残置物(家具・家財)の処分費、整地費、重機が入れない場合の割増などが加わります
金額は条件で変わるので、必ず相見積もりで幅を確かめてください。自治体によっては、老朽危険空家の解体補助が使えることもあります。
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実家の片付け・遺品整理をどう進めるか
実家じまいで、いちばん手間と気力がいるのが片付けです。ここでつまずいて止まる方が多いので、ポイントだけ。
- 重要書類を最優先で探す:不動産の権利証・登記関係、通帳、保険証券、契約書。捨ててから気づくと大変です
- 「残す・売る・処分」で仕分ける:全部を自分でやろうとしない。量が多ければ遺品整理・不用品回収の業者も選択肢
- 買取で費用を圧縮できることも:まだ使える家具・家電は、買取に出すと処分費が減ることがあります
費用の目安は、ワンルームで数万円〜、一軒家(4LDK以上)で50万円前後までと幅があります(量・地域で変動)。
注意したいのが悪質業者です。「一式◯万円」と言っておいて、あとから高額を請求する例があります。
実家じまいの費用と期間の全体像
実家じまいは、片付け・処分・税金など、いくつかの費用が重なります。全体像をつかんでおくと、慌てません。
- 片付け・遺品整理:数万円〜50万円前後(量による)
- 解体:木造で坪3〜5万円程度が目安(する場合)
- 売却の諸費用:仲介手数料(売買価格×3%+6万円+税 が上限の目安)、印紙代など
- 税金:譲渡所得税・相続税など(次の章。専門家に確認)
期間は、全体でおおむね6か月〜1年が目安です。相続の話し合いや、売却先が決まるまでで前後します。
相続がからむとき|まず「名義」を整える
実家じまいは、相続とセットになることが多いです。ここだけは順番があります。
- 相続登記(名義変更)は義務化されています。名義が故人のままだと、売ることも、担保に入れることもできません。まずここを整えます
- 相続人が複数(兄弟姉妹など)なら、誰がどうするかの話し合いが先。ここが決まらないと前に進みません
※相続登記の手続きや、相続税・譲渡所得税などの税金は、司法書士・税理士など専門家の領域です。金額や手続きの断定は避けますので、具体的な計算・申請は専門家にご相談ください。
私(宅建士)がお手伝いできるのは、不動産を「売る・貸す・活かす」の判断の部分です。この2つを見極めて進めると、迷いにくくなります。
なお、相続した空き家を売るときは、条件を満たすと「空き家の3,000万円特別控除」という、譲渡所得を軽くできる特例が使えることがあります。適用の条件は細かく、期限もあるため、使えるかどうかは税理士など専門家に早めに確認してください。
茨城で実家じまいを考えるなら
茨城は、水戸・つくばのような便の良いエリアと、郊外・県北のように需要が読みにくいエリアが混在します。同じ「実家」でも、エリアで取るべき道がまったく変わります。
茨城のエリア別の考え方は「茨城の空き家・実家じまい」で、より具体的に解説しています。
- 便の良いエリア → 売るか、活かす(土地活用)か、選択肢が広い
- 需要の少ないエリア → 条件の良いうちに動く判断が向くことも
こういうとき、売主でも、買取業者でもない中立の相談先が役に立ちます。「売ったほうがいいのか、活かせるのか、いくらが妥当なのか」を、営業トークぬきで一緒に整理できます。
すまいのみちしるべは、茨城・水戸で家づくりと不動産の無料相談を受けています。会社名を伏せたままでも大丈夫です。売り込みはしませんし、無理にどこかを勧めることもしません。
よくあるトラブルと、防ぎ方
実家じまいでつまずきやすいポイントと、その防ぎ方です。
- 親族間でもめる:「勝手に進めた」となりがち。最初に全員で方針を共有しておく
- 悪質業者に高く請求される:片付け・解体は相見積もりで内訳を確認
- 重要書類を捨ててしまう:片付け前に、権利証・通帳・保険をまず探す
- 売れずに固定資産税だけ払い続ける:売れない土地は、貸す・活用・(条件により)国庫帰属も検討
- 相続登記を放置:義務化され、放置すると過料の対象になることも。名義は早めに整える
よくある質問
相続した実家を「売る」と決めたら、流れと税金の注意は相続した実家を売るときの流れと、空き家の固定資産税にまとめています。
まとめ
- 実家じまいは、まず「手放すか・活かすか」×「立地」で道を見極める
- 立地が良ければ、売る前に”活かす(土地活用)”も検討。選択肢が広いほど得しやすい
- 売るなら相場を複数で確認、解体は”更地後の税金”に注意
- 相続がからむ税・登記は専門家へ。不動産の売る・貸す・活かすの判断は中立の第三者と
- 「急がないが、止めない」。方針が決まれば、あとは動くだけ
実家をどうするか迷ったら、茨城・水戸のすまいのみちしるべにご相談ください。中立の立場で、あなたの実家に合う道を一緒に整理します。










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